This is a Japanese translation of “All the best advice we could find on how to get a job ”[1]
仕事の見つけ方のアドバイスの殆どは役に立たない代物だ。
- CollegeFeed の一番の面接の助言は「自信を持て」らしい。そんなの「雇用価値を見せろ」と言うようなものだ。
- 殆どのアドバイスは「爪をきちんとして、しっかり握手する」の類だ。
- YouTubeで一番有名な面接動画の一つ(800万回以上再生)は、面接官から明示的に促されるまでは絶対に座るな、というなんとも聡明な指摘をしている。
椅子に数秒早く座ってしまう、なんていう大失態からどう回復しよう?
長年にわたり、我々は数多くの悪いアドバイスをふるいにかけ、実際に役に立つアドバイスを探し出してきた。また求人に応募する何千人もの人々に 1 対 1 のコーチングを提供し、自社でも約 30 人を雇用してきた。こうして何が効果的か、両面から見てきた。 ここで、今まで学んだことをまとめたいと思う。
大事なのは、面接に受かるというのは、自分が価値ある何かを提供できると相手を説得することにある、ということだ。よって、雇用主が最も納得するであろうことをすべきだ。つまり、履歴書を沢山送るのではなく、推薦を得たり、自分がその仕事ができるという能力を証明することに集中する必要がある。 一つ一つのステップのアドバイスについては、このガイドを読み進めて頂きたい。
所要時間:25分
要約
- 仕事を見つけるというのは、営業と同じだ。雇用主の観点から考えて、雇用主が最も納得できることを実行しよう。
- 推薦を頼んだりして、沢山のリードを得る。
- 実際にやってみることで、その仕事ができることを証明する。 面接の前にプロジェクトをやってみる、相手の問題をどう解決できるかを具体的に説明する、とりあえずは関連性のあるポジションを探す、など。
- 内定をもらったら、交渉してみる。
- モチベーションを維持するために必要なことは何でもする。1 日に 1 つのポジションに応募すると公約する、求職仲間を探す、など。
今のはジョークだが、実際の就職アドバイスはこれと似たようなものだ。Michael Spicer より
正直に言おう。特別あなたの就職を叶えなければならない事なんてないし、面接なんて大抵は公平じゃない。むしろ、就職というのは営業と同じだ。結果を出すことと引き換えに、責任と給料を与え、自分の評判さえも賭けるよう、誰かを説得する必要がある。
この「営業」プロセスにおいて、過程ごとの重要なアドバイスを挙げる:
- 機会を見つける(リード)
- 雇用主を説得する(説得)
- 交渉
共通しているのは、雇用主の視点から考え、雇用主が最も納得するであろうことは何でも行うということだ。
このガイドの他の部分は、どの仕事があなたと世界にとって最良かを考えることについてだが、ここでは実際に計画に基づいて行動を起こす方法に焦点を当てている。 ただ、自分が不得意な仕事に就くために交渉技術を使っても意味がないことを心に留めてほしい。充実しないだろうし、あなたの業績があなたの次に優秀な応募者よりも悪かった場合、マイナスのインパクトを与えることになる。
我々がこの記事を公開したのは逆のケースを防ぐためだ。世の中を変えたいと思う優秀な候補者が、自分の売り込み方が分からないがために、自分の可能性を最大限に発揮できていないケースを我々は沢山見てきた。
ステージ1:リード
リードとは、仕事に繋がる可能性のあるあらゆるもの、例えば応募できるポジションや求人情報を知っていそうな友人、収入を得ることができるかもしれないサイドプロジェクトなどだ。
リードは沢山必要
我々は、現在NPRのトップジャーナリストである人物にインタビューした。 彼は駆け出し当時、70 件のポジションに応募し、正式な内定を得たのは 1 件だけだったと言う。
この話からも分かるように、リードというのは沢山必要である。
特にキャリアの初期では、1 つの良い仕事を見つけるのに最低20〜 100 件のリードが必要であり、20 回断られるのは普通のことだ。
実際、米国における失業期間の平均期間は 6 か月であるため、就職活動にはそれくらいの期間がかかることを覚悟しなければならない。1
特に競争率が高い求人に応募する場合は、通常より倍率が高いため、より多くのリードが必要となる。これは、我々が取り上げる喫緊の問題に取り組む仕事の殆どを含む。原因の一つは、我々が焦点を当てている問題が見過ごされている問題であること、そのためそもそもその仕事のポジションが少ないということにある。例えば、壊滅的なパンデミックの防止に取り組みたいが、リードが10件しか見つからない場合、平均で考えると仕事を見つけるには足りない数字だ。少なくとも 30 件のリードを獲得するまで、他の分野の仕事に応募しなければならないかもしれない。
一方、自信過剰な人もいる。効果的利他主義(EA)の組織で働くことをバックアップの選択肢としている人々もいるが、そもそもそれらの仕事は非常に競争が激しいため、実際にはバックアップでもなんでもない。
残念ながら、自分が自信過剰なのか逆に自信がなさすぎるのか判別する手段はない。したがって、バックアップポジションと高望みポジションの両方が必要である。
- バックアップポジションとは、あまりやる気はないが、内定を得られる可能性が高いものである。これらに応募することで、就職先が何も見つからないリスクを軽減できるし、内定があれば他の交渉での立場が向上する可能性がある。
- 高望みポジションとは、受かる可能性は低いと思われるが、とても良いポジションなので受かれば嬉しいものである。
これら全てに応募するのは大変な作業だ。だが、求人応募は特定のキャリアに対する自分の適合性を評価する最良の方法の1つでもある。実際、求人応募書類とは、なるべく早く仕事への適合性を測るために設計されているものである。よって、応募することで多くのことを学ぶことができ、まったく新しいキャリアを見つけることさえできるかもしれない。
多くの仕事を追求することは、それだけ多くの手がかり・機会を見つける最良の方法でもある。 例えば、ある雇用主には求人がなくても、他の求人情報を紹介してくれるかもしれない。
リードを得る方法?人脈を使おう
大規模組織の多くは、標準化された求人プロセスを使っている(英国公務員機関やTeach for Americaなど)。プロセスを公平に保つために、小細工はあまり許されない。このような場合は、ただ応募するしかない。
だが、それ以外の場合はどうだろうか?当然のアプローチは履歴書を沢山の会社に送ったり、求人サイトの求人に応募することである。これはキャリアアドバイスの基本である。2
我々も時にはこれを勧める―例えば我々独自の求人掲示板もある。問題は。履歴書を送ったり、インターネット求人に答えたりすることの成功率は低いということである。
キャリアアドバイス本のベストセラー「What Color is Your Parachute?」(邦題『あなたのパラシュートは何色?』)の著者であるRichard Bolles 氏は、履歴書を会社にコールドメール(なんの人脈もなく、単に求人サイトに掲載された求人情報に履歴書を送ること)して内定を得る可能性は約1,000分の1であると推定している。3つまり、あなたの書類が群を抜いて優秀でない限り、内定を得る可能性を10%にするには、100回履歴書を送る必要があるということだ。求人サイトの求人情報に応募して成功する可能性は 1% 程度だと推測される。
また、求人サイトに掲載されるポジションは標準化される必要があり、主に大企業によるもののため、最良のポジションはあまり含まれていない。
最良のチャンスは多くの場合、小規模だが急速に成長中の企業に隠れており、競争率が低く、自分に合っているものである。それらを見つけるには別の方法が必要だ。
雇用主の視点から考えてみよう。 雇用主からすると、すでに知っている人か、そうでない場合、推薦・知り合いからのリファラル紹介を通じて採用した方が好ましい。
想像してみてほしい。信頼できる人からの推薦と、indeed.comで求人情報を見つけた人からの20件の履歴書、どちらを選ぶだろうか?紹介の人は期待に応えるため、より真面目に働く可能性がある。それに採用過程も楽だ。実に、全く知らない人20人を審査するのは大変な作業だ。また、紹介の方が候補者の質が高いことが多い。最も雇用に適した人材は既に多くのオファーがあるだろうから、求人情報には殆ど反応しないだろう。このような理由から、多くの採用担当者は、リファラルによって候補者を見つけることを最良の方法だと考えている。4
しかし、求職者はたいてい物事を逆に考えている。採用担当者が最も好まない方法から始めるのだ。
1. 内部雇用:正規社員、あるいは現職の契約社員の昇給。元コンサルタントの社内、あるいは契約での雇用。過去の「臨時/派遣」社員の正規雇用。雇用主からすると「既に仕事ぶりを見たことのある人材を採用したい」(雇用主からしてローリスクの戦略)
求職者への影響:希望の組織でパートや契約社員、コンサルタントとして雇用してもらえないか、確認してみる。正規ポジションは将来できれば目指せればいい。
2. エビデンス:見知らぬ者でも、必要とされるスキルを実際に証明できる者を雇う。
求職者への影響:プログラマーなら、過去に作ったプログラムのコードを見せる。写真家なら写真、カウンセラーなら事例を持ち込む、等。
3. 友人やビジネスパートナー:信頼のおける誰かが保障する者を雇う(その人の下で働いてた者等)
求職者への影響:志望する組織での採用を担当する人を知っていて、かつ自分の仕事を知っている人を見つけて、紹介してもらう。
4. 信頼のおける仲介企業:雇用主が雇ったリクルーターや民間の職業紹介会社など、雇用主の代理で候補者を査定するもの。
5. 求人情報:新聞やネットで掲載
6. 履歴書:求人募集をしていないときに送られてきた履歴書(雇用主が他に手段がない場合)
応募者の約50%はコネで仕事を見つける。その多くは求人として掲載されていないものだ。したがってリファラルで仕事を探さないと、多くのチャンスを逃すことになる。また、業界の人と話すことは自分自身をアピールする方法やチャンスにアプローチする方法についての情報を得る最良の方法だ。さらには自分の適性を評価する最良の方法の1つでもあり、自分にとって最良の道を絞るのにも役に立つ。
リファラルを得る方法
推薦を頼むのは一種の技だ。そのまま使えるメールのテンプレートのリストをまとめてみた。
以下はリファラルを得るための手順だ。今すぐ仕事を探していない場合は、実際に応募するまでこのセクションをスキップしてよい。
- まず、LinkedInプロフィール(や個人ウェブサイトなど)をアップデートする。これはLinkedInを通じて仕事のオファーを狙うためではなく(そんなこと滅多にない)、あなたに会おうと考える人はきっとあなたのプロフィールをチェックするだろうからだ。最も輝かしい実績に焦点を当てよう。また、できるだけ具体的にしよう(「国内3位」「年間寄付額100%増」など)。残りはいらない、2 つの素晴らしい業績と 3 つの普通の業績よりも、2 つの素晴らしい業績だけの方が良い。 仕事に関連するポートフォリオ プロジェクトへのリンクも追加しよう。
- 自分の名前をGoogleで検索してみて、結果がなるべく好印象を与えるようにしよう(恥ずかしい昔のブログの記事を消すなど。やり方はこちら。
- 業界内で採用担当の人を既に知っているのなら、その業界での機会について話し合うための面談を申し込んでみよう。これはほぼ、事前に必要なステップを抜いて直接面接にかこつけるようなものである。それに、ベストの応募の仕方などの非常に重要な情報や、自分に最適なポジションなどについて詳しく知ることができる。大事なのは、空いているポジションがなくても関係ないということだ。雇用主は優秀な人材を確保するためにわざわざポジションを用意することはよくある。面談に挑む前に、以下の面接の準備方法に関するアドバイスを参考にしてほしい。
- 相手のことをあまりよく知らない場合は、その業界の仕事についてもっと知るための「情報面談」をできるか頼んでみよう。それがうまくいったら、あなたを雇ってくれるような人を紹介してくれるよう、推薦を頼んでもいい。情報面談だと約束した場合は、絶対に仕事は頼まないこと。
- 紹介を頼むとき、求めている職種を一行で要約できる説明文を用意しておくこと。例えば「教育関係のITスタートアップでのマーケティングの新卒向けポジション」など。「ソフトウェア系の仕事」や「私のスキルに沿った仕事」などは避ける事。できるだけ具体的にすることで、相手にとっても想像がつきやすくなるので、曖昧なものよりも特殊的な方が良い。
- 上記が失敗した場合は、コネのコネをあたってみよう。知り合いで自分を雇ってくれるかもしれない人を知っている人がいたら、その人に直接リファラルを頼んでみよう。理想的なのは、以前一緒に働いて良い結果が出せた人に頼むことだ。
- あなたのコネクションではリファラルが望めない場合、採用担当の人に紹介してくれるよう頼んでみよう。そうしたら情報面談に戻る。
- .自分のコネクションが誰と知り合いかを知るにはLinkedInやTwitter等のソーシャルネットワークを使おう。例えばAirbnbで働きたいとしよう。まずLinkedInで「Airbnb」と検索する。するとAirbnbで働いている自分の連絡先の人、そして繋がりの繋がりでAirbnbで働いている人が表示される。共通の知り合いが一番多い人を選んで連絡してみよう。
- LinkedInコネクションが200人いて、その一人一人が他の人と重複しない形で200人コネクションがある場合、上記の方法を使って連絡出来る人が少なくとも10,000人いることになる。
- 80,000 Hours LinkedIn グループには、喜んで就活アドバイスをしてくれる人がたくさんいるし、紹介もしてくれるかもしれない。。
- それでも何も見つからない場合、まずは業界内の人脈を構築するのに時間をかける方が良いかもしれない。ネットワーキングの仕方のアドバイスについてはこちら。大学の同窓生や友人の友人など、共通の繋がりのある人から始めよう。おそらく大学から、各業界で協力してくれる卒業生のリストを提供してもらうこともできる。また、参加できるグループやカンファレンスもあるだろう。でなければ、コールドメールを試してみてもよい。コネなしで仕事を得るためのガイドはこちら。 誰かのメールアドレスを見つけるガイドはこちら。
紹介を頼むときは、必ずテンプレートを使うこと。
採用担当者、求人掲載
我々は上記の戦略を優先しがちだが、人材紹介エージェントに直接話してみてみるのもよい。時にはただ応募するだけより効果的なこともある。興味のある業界で優れたネットワークを持っている人を探してみよう。
求人掲載を漁ってみるのもよい。上手くいくかもしれないし、ただアイディアを得るのにも効果的だ。とりわけ、世界で最も差し迫った問題に取り組むのに有利な立場に導ける仕事を集中的に取り上げている我々の求人掲示板を参考にしてほしい。
ステージ2:説得
あなたを採用する権限のある人と話すとき、どうやって相手を説得しよう?
繰り返すようだが、相手の立場になって考えてみよう。以前80,000 Hoursでウェブエンジニアを探していたことがある。殆どの応募者はただ応募フォームに記入しただけだったが、一人、我々の昔のキャリアクイズを考え直したものを送ってきた人がいた。どの応募が一番説得力があるだろうか?クイズを送ってきた人は、正式な経験が殆どなかったのにも関わらず、すぐに応募者の上位20%に入った。
雇用主が求める資質は幾つかある。社交的で、しばらくは採用先に残るような、問題を起こさない人が好ましい。しかし一番大事なのは、雇用主はあなたが彼らの問題を解決してくれることを期待しているということにある。雇用主が最も重視する結果が得られることを証明できれば、他はそう重要でない。
では、いかにして実行に移そう?
プロセスが標準化されている場合
こういう場合(例:Teach for Americaや政府関連の仕事)、やるべきことをやる以外、選択肢はない。成功確率を高めるためには、プロセスの正確な過程について調べたり、それを練習したりする他はない。例えば、能力適性検査の場合は、求められている能力について調べ、知人に模擬面接を頼もう。一部の公共事業組織は、候補者の審査基準を公開している。
一番役に立つのは、最近このプロセスを経験した人を見つけて、その仕組みを説明してもらったり、できれば一緒に練習してもらうことだ。応募方法について書かれた本があることもある。
しかし殆どの場合、標準化された採用方法などない。ではそういう場合は何をすればいいのだろうか?
もし前に同じような仕事をしたことがあるのなら、自分を売るストーリーを練習すればいい。このまま面接のアドバイスに進んでよい。しかし、必要な経験があまりない場合はどうしよう?
単純だ、やるべきことをやればいい。
やるべきことをやれ
その仕事が遂行できることを証明する最も強力な方法は、実際にそれをやってみることだ。それに前記のように、自分の能力適性など、やってみれば分かることもあるため、時間を無駄にすることも防げる。
これを実践する4つの方法を紹介する。
ポートフォリオプロジェクトをやる
例えば作家や記者になりたいのであれば、関連するトピックについてのブログやツイッターを作ってみよう。ソフトウェアエンジニアを目指しているのであれば、GitHubにプロジェクトを載せよう。
これらのプロジェクトを個人の Web ページや LinkedIn プロフィールに含めよう。 応募書類や面接の際にも、これらについて言及すること。
面接前のプロジェクト
さっき話したウェブエンジニアが送ってきたキャリアクイズなどがこれに値する。具体的には:
- 自分に課せられることになる職務内容を調べる(これだけで既に結構役に立つ)
- 特に、組織内で自分が解決することになるだろう課題を判断する。これを見つけるには多分デスクリサーチをしたり(簡単なガイドはこちら)、業界の人と話すことが必要だろう。
- 週末にでもそれらの問題に対する解決策について考え、その会社の何人かの人に約一ページの要約を送って、話を聞いてもらうよう頼もう。
- 一週間経っても何も返信が来ない場合、少なくとも一度は催促してみよう。
- あるいは、対策案を事前に準備して、面接の際にプレゼンしよう。Ramit Sethiはこれを「ブリーフケース作戦」と呼んでいる。
他の例についてはこの記事を参照(所要時間8分、「面接前プロジェクト」の名称の由来)。
個人的な経験からいうと、我々は4年間、80,000 Hoursへの競争率が高い応募を監修してきたが、これらのプロジェクトのいずれかを行えば、すぐに応募者の20%に入れるだろう(あなたの案が理にかなっていればの話だが)。熱意を示せるし、殆どの人は応募する職務についてほとんど何も知らない。
試用期間
雇用主がどっちつかずで迷っている場合、減給またはインターンとして2~4週間の試用期間を申し出ることもできる。最終的に雇用主が満足しなければ、潔く退職することを明確にしなければならない。
このことを話すのは相手が迷っている場合だけにすること。でなければ自分を過小評価しているように思われるかもしれない。
関連するポジションに就く
希望の仕事にすぐに就けない場合は、フリーランスのポジションや、本当に希望しているポジションよりも 1 つ下のポジションなど、組織内の別のポジションに応募することを検討しよう。
似たようなポジションで働くことで、自分のモチベーションや社風との適合性を証明できる。上司に補充すべきポジションが空いた場合、既に組織内にいる人間を昇格させた方が、面倒な応募プロセスを始めるよるもはるかに簡単だ。
ただ、そのポジションが自分の本当に欲しい方向にちゃんと繋がることを確認しておこう。例えば、将来研究職に就くことを願って組織内のオペレーション職に応募する人をよく見かける。これらのキャリアは非常に異なるスキルを必要とするものであるため、完全に別個のものとして扱われている。が、多くの人は研究を希望するため、移動が上手くいくことは稀であり、どちらにせよ双方にとって効率が悪いものであることを意味する。
面接への備え方
雇用主の問題を解決できることを示すことができれば、良い方向に進むことができるため、おそらく面接を完璧にする必要はない。 しかし、説得力をさらに高めるためにできることはまだある。
以下は我々の思う面接の最良の準備の仕方だ。ネットワーキングの際にリードを獲得するのにも役立つ。今現在、積極的に就活していない場合は、このセクションは読み飛ばしてよい。
- 雇用主に会う時、相手の課題をなるべく理解できるよう沢山質問をしよう。それらの課題に自分がどう貢献できるかを話し合う。これはまさに、優れた営業マンが取る手法だ。ある営業に関する研究調査に「質問の使い方と対話の成功には、統計的に明確な関連性がある」とある。また、営業担当者がより多くの質問をするように訓練されると、より効果的になるという。5
- 面接の前に自分のセールスポイントを3つ用意しておく。面談を通してあなたが相手に伝えたいメッセージだ。例えば、1)自分は過去にこの課題を成功させたことがある、2)この会社にとても興味がある、3)自分が取り組めることについて提案がある。先にこれらを書き出しておくことで、確実に大事なことについて触れる可能性が上がるし、相手が覚えられる点の限界は約3点だ。そのため、これはビジネスアイディアを売り込む際の基礎的なアドバイスとしても使われている。自分が何を提供できるか分からない場合は、キャリア資本についての記事の最後にこれについての演習がある。
- 最も印象的なことに焦点を当てる。どちらの方が響きがいいだろう:「エネルギー対策についてオバマ大統領に助言しました」「エネルギー政策についてオバマ大統領に助言し、ここ3年間は高校教師として働いています」?多くの人は履歴書に自分のやってきたことはなんでも全て書き込むが、実際は最も印象的な業績1つか2つに絞って、それに焦点を当てた方がいい。その方が聞こえもいいし、ちゃんと全体像を伝えられる可能性も高くなるし、相手がそれを覚えておく可能性も高くなる。
- 3つの重要メッセージを裏付ける具体的な事実やエピソードを1‐2個用意する。例えばウェブエンジニアを志望するのであれば、「私は努力家です」と言うよりも、「友人が運営している組織が報道に載せてもらいそうになった事があり、彼は24時間以内にウェブサイトを作る必要があったのですが、私たちは徹夜でウェブサイトを作りました。翌日には1,000人の申し込みがありました。」と言う方が説得力がある。「どうしてもこの業界で働きたいです」と言うよりも、応募に至った経緯を語ろう。抽象的な主張よりも、ストーリーや具体的な詳細の方が、はるかに印象に残るものだ。6
- 自分が貢献できるものをどうまとめればいいか考えよう。スティーブ・ジョブズは何百万台ものiPodを売るのに「MP3プレーヤーより30%優れている」などとは言わなかった:「ポケットに1,000曲」というスローガンを掲げたのだ。短く鮮明な要約を持つことで、他の人があなたの代わりに周囲に宣伝しやすくなる。例えば、「気候政策についてオバマ大統領に助言した人物で、研究職を希望している」というようなものが理想的だ。
- 聞かれそうな質問に対する答えを用意する。それを書き出し、実際に声に出して練習しよう。以下は通常聞かれる質問3つだ:1)あなたについて教えてください―これは何故このポジションを希望するのか説明し、1つか2つの業績を挙げる機会である。2)何故このポジションを希望するのですか?3)私たちへの質問はありますか?その後、面接官は通常、最も気になる人格の特徴についての質問を加える。これらは通常、「あなたが...した時について教えてください」から始まり、「リーダーシップを発揮した」「チームで働かなければならなかった」、「困難な状況や人に対処しなければならなかった」、「失敗した」、「成功した」などに続く。一般的な面接の質問リストはこちら。
- 最初から最後まで、面接の練習をする。友人に協力を頼んで、5つ質問してもらって、すぐに答える練習をする。手伝ってくれる知人がいない場合は、自分の答えを声に出して、どう進行したいか頭の中でシミュレーションする。何が問題になる可能性が高いのか、どうそれに対処するかを考える。
- 学ぶ。各面接の後、何がうまくいったか、改善点は何か、次はどう変えるべきか、反省する。
改善と適応
就活はマスターするのに時間が掛かる難しいスキルだ。
面接や雇用主との大事なやりとりの後には、何がうまくいったか、改善点は何か、次はどう変えるべきか反省しよう。
5〜 10 の面接を行っても次の段階に進めなかった場合は、より徹底的な再評価を行う必要がある。自分自身を表現する方法を間違っているのかもしれない。業界内の人 (できれば採用経験のある人) に資料を確認してもらい、模擬面接をしてもらおう (または面接で何が起こったのか説明する)。
同様に、20件以上応募したのにも関わらず面接に招待されなかった場合は、そのエリアの人に応募書類を確認してもらおう。
何が間違いなのか見つからない場合は、自分に合っていない仕事に応募している可能性があるので、別の分野やポジションを検討する必要がある。
面接を 10 回受け、後半の段階に数回進んでもまだオファーがない場合は、そのまま続けよう。 多くの場合、最終段階に進めるのは 3〜 10 人なため、オファーを得るまでにおそらく少なくとも 5 回の最終段階の面接を受ける必要がある。
一方、比較的簡単にオファーを獲得している場合は、もっと高望みのポジションに応募してみよう。
ステージ3:交渉
交渉は内定後、雇用主からの雇用が確定されてから始まる。
大抵の人は仕事が決まっただけで満足したり、交渉するのに気おくれして、試そうともしない。だが十分間の短い交渉だけで、今後数年に渡って大きな利益を得られるかもしれない。なので大事なのはとりあえずやってみようとすることだ。
例えば、雇用主にあなたと同額の寄付金を慈善活動に寄付することを要求できるかもしれない。そうすれば、年間数千ドルの寄付が増えることになり、交渉にかかった10分間が人生で最も生産的な時間になるかもしれない。
特定のチームで働く、より柔軟な勤務時間を取る、リモートで働く、特定のスキルを学ぶなどの交渉をすることもできる。 これらはすべて、日々の幸福とキャリア資本に大きな違いをもたらす可能性があり、多くの場合、追加の給与を頼むよりも簡単だ。
必ずしも交渉できる状況にあるわけではない。政府関係の役職のように、非常に標準化されているポジションでのオファーではやらない方がいい。どっちにしろ契約を変えることはできないだろう。また、他の候補者に対して僅差でしか優れていない場合や、他に選択肢がない場合もやらない方がいい。そして、雇用主がオファーを出すまでは絶対に交渉しないこと。面接中に交渉を始めるのはよくない。
とはいえ、オファーがあるのなら、ほとんどの場合、交渉を試みるべきであると我々は思う。 採用活動は何か月もかかり、管理にも多くの時間を要するものだ。 雇用主がオファーを出す頃には、そのプロセスに何千ドルも投資したことになる。 また多くの場合、最優位の候補は次の候補よりも大幅に優れている。 そのため、たとえコストが 5% 増加したとしても、トップ候補を逃がす可能性は低いだろう。
交渉しようとしたからといって、相手が最初のオファーを撤回する可能性はさらに低いだろう。 礼儀正しくしていれば、最悪の場合、最初のオファーに戻るだけだろう。
一番交渉がしやすいのは複数の良いオファーがある場合、強力な代替ポジションがあるからだ。
交渉の仕方
基本的な考え方はシンプルだ:雇用主に自分が提供できる価値と、自分が望む福利厚生を与えることが正当化される理由を説明することだ。そうしたら、客観的な指標と両者に有利な解決策を探す:雇用主が大事にしていることの代わりにあなたの優先事項を先にすることは可能だろうか?例えば:
- この業界で私と同様のレベルの経験を持つ人は、通常5万ドルの給料をもらい、週に2日自宅で仕事ができます。それでも私はあなたと一緒に働きたいのですが、他社と合わせることはできますか?
- 私は営業スキルを習いたいので、Xさんと一緒に働きたいのです。そうすれば、半年後にはもっと効果的な仕事ができるようになるでしょう。
あまり有利な立場にいない場合は、将来の昇進や昇給について交渉することもできる:
- この[ポジション名を挿入]を目指して働きたいと思っています。そのためには、今後6カ月間で何をすればいいですか?
そして、条件を満たせば、それを約束するよう相手に求めるのだ。
働き始めてからの交渉
仕事を始めたら、できる限り真面目に働くよう努め、それから再度交渉すること。ほとんどの雇用主は、すでに優れた仕事をしている人材を失いたくはないだろう。
大抵の企業には標準的な業績評価プロセスがあるため、それを待ってからリクエストしよう。
交渉の仕方を覚える
給与交渉についての記事は数多くあるので、ここではほんの少し紹介するだけにする。おすすめのガイドはこちら(所要時間30分)。Ramit Sethi(彼のスタイルからして全ての状況に適応できるわけではないが)も色々アドバイスしている(14分の動画とニュースレター登録と引き換えの無料PDFガイド)。もっと詳しく知りたい人はハーバード・ロー・スクールで交渉を教えるWilliam Ury著、『Getting Past No』をチェックしよう。
モチベーションを維持するための作戦を練る
初めての就職活動は今までで一番難しいことかもしれない。今まで30回連続で誰かに拒否されたことなんてないだろう。何か月もかかるかもしれない。それに殆どは一人でやるものだろう。オンラインデーティングが簡単に見えるかもしれない。
つまり、就職活動は自分が知り得るモチベーション維持テクニックを全て駆使する必要があるということだ。以下は幾つかのアドバイスだ:
- 読者の多くにとって最も効果的だったのは、同じく仕事を探している人とペアを組むことだ。一緒に進展をチェックしたり、アドバイスやリードをシェアできる。でなければ、最近就職に成功した人で、会ってアドバイスしてくれるよう頼んでみよう。
- 具体的なゴールを作る―例えばオファーが貰えるまで毎週5人に話すなど―自分の目標を公に公表し、達成できなかった場合は何かしら代償を決めること
- 不採用にも気楽に向き合おう。不採用通知が届くたびにスタンプを押すスタンプカードを自分で作って、いっぱいになったら自分へのご褒美にアイスクリームを買おう!
- 仕事のように扱う。同じ仕事を週40時間、何年も続けることになる可能性が高いのだから、ポジションを確保するのに5%以上の時間、つまりフルタイムの仕事の1~2カ月分の時間がかかるのは当然である。時間をかければかけるほど、おそらく良い結果が得られるだろう。また、今仕事についていないのであれば、仕事探しを仕事そのものと見なすことで、モチベーションを高めることができる。朝9時に出社し、夕方5時まで働く。
- モチベーションを高める方法について、他のヒントも参考にする。例えば、Nick Winter著の『The Motivation Hacker』や、どんな仕事でもキャリア資本を高めるための記事にある、生産性に関するアドバイスをチェックしてみてください。
異なる仕事におけるアドバイスを参考にする
ベストの仕事の見つけ方は、求めている仕事の種類に依る。キャリアレビューのプロフィールの最後に各仕事におけるアドバイスを挙げている。
もう二度と求職しない
キャリア資本を築けば築くほど、就職活動は楽になる。
より良いポジションを得るために最も重要なことは、人脈を増やすことだ。これについては、ここと次の記事でヒントを紹介する。
仕事に就いたら、強力なスキルを身につけ、仕事に秀でることに集中しよう。一番のマーケティングは口コミだ。仕事が優秀であれば、人々は積極的にあなたを雇用主に紹介したがるはずだ。キャリア資本の記事を読んで、二度と就職活動をしなくて済む方法を見つけよう。
結論
就職活動は不愉快なプロセスかもしれないが、この記事のステップを踏めば、成功する可能性が高くなる。そうして満足のいくキャリアを見つけ、世の中に貢献できればいい。
自分のキャリアに適用する
上位の志望候補に入るために最も重要な3つのステップは何だろう?
できるだけ具体的に考えよう。例えば:
- 最後に行ったインターンシップの上司と連絡を取る
- 10件応募書類を準備する
- 業界の人に3人会う
- 一緒に求職するパートナーを探す
大事なのは人と話すことだろう。
いつ実行に移すのか?多くの研究は、いつやるかを書き出すと、実際にやる可能性が高くなると示唆している―これを実行意図という。
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本文の注に関しては原文を参照してください。